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チック障害

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チック障害について

「まばたきが多い」「鼻を鳴らす」「首を繰り返し振る」といったお子さまの様子に、不安を感じたことはありませんか。その症状は、チック障害によるものかもしれません。チック障害は、本人の意思とは関係なく体が動いたり声が出たりする神経発達症の一つです。

この記事では、チック障害の症状や原因、診断・治療の流れについてわかりやすく解説します。

チック障害とは

チック障害とは、自分の意思とは関係なく、体の一部を素早く動かしたり、咳払いなどを繰り返したりする障害です。症状が現れる前に「ムズムズする」「何かがこみ上げてくるような感覚」を覚える人もおり、一時的に抑えることはできても、抑えきれず症状が出てしまうことが多いとされています。

チック障害は小児期に発症することが多く、思春期にかけて症状が強まることがあります。その後、青年期から成人期にかけて症状が軽くなる方も多い一方で、症状が持続する場合もあります。

チック障害の主な症状

チック障害の症状は大きく「運動チック」と「音声チック」の2種類に分けられます。それぞれの特徴を以下で詳しくみていきましょう。

運動チック

運動チックとは、体の特定部位が本人の意思とは関係なく、素早く繰り返し動く症状です。顔や首、肩などに現れやすく、周囲の人にも気づかれやすい特徴があります。運動チックは、一つの筋肉群だけが動く「単純運動チック」と、複数の筋肉が連動して起こる「複雑運動チック」に分類されます。

【単純運動チック】

単純運動チックは短時間で終わる単純な動きが特徴で、癖や落ち着きのない行動と誤解されることもあります。しかし、本人の意思だけで完全に止めることは難しいとされています。

具体例:まばたきを繰り返す、口をゆがめる、肩をすくめる など

【複雑運動チック】

複雑運動チックは複数の動作が組み合わさるため、意図的な行動と誤解されることもあります。

具体例:首を左右に振る、飛び跳ねる、自分を叩く、他人の動作をまねる(反響動作)など

音声チック

音声チックとは、声帯や口、鼻、咽頭の筋肉が関与し、本人の意思とは関係なく声や音が出る症状です。学校や職場など静かな環境では、本人が戸惑ったり負担を感じたりすることがあります。音声チックは、短い音が出る「単純音声チック」と、言葉やフレーズが出る「複雑音声チック」に分類されます。

【単純音声チック】

単純音声チックは風邪や花粉症と区別がつきにくく、耳鼻咽喉科を受診しても原因が見つからず、チックの可能性を指摘されることもあります。

具体例:咳払いを繰り返す、鼻を鳴らす、「ウッ」「アッ」などの短い声

【複雑音声チック】

複雑音声チックは文脈に関係なく言葉が出ることがあり、周囲から誤解される場合もあります。

具体例:単語やフレーズを繰り返す、他人の言葉を繰り返す(反響言語)、社会的に不適切な言葉が出る(汚言症)など

チック障害の原因

チック障害の原因は単一ではなく、複数の要因が関与していると考えられています。

脳機能や神経伝達物質の影響

チック障害は、脳の中で体の動きを調整する機能の異常が関係していると考えられています。特に、脳内で情報をやり取りする「神経伝達物質」の一つであるドーパミンの働きが関係している可能性が指摘されています。

ドーパミンの働きが過剰になると、体の動きや声をうまくコントロールしにくくなり、チック症状が現れやすくなるとみられています。また、セロトニンやノルアドレナリンなど、ほかの神経伝達物質もチック障害に関与する可能性があると考えられており、研究が進められています。

ストレスや疲労、ホルモンバランス

チック症状は、その日の体調や精神的な状態によって強くなったり弱くなったりすることがあります。特に、疲労や睡眠不足、学校や職場でのストレスが続くと、症状が目立ちやすくなる傾向があります。

また、思春期はホルモンバランスが大きく変化する時期であり、症状が強くなることもあります。ただし、ストレスそのものがチック障害の原因になるわけではなく、症状を強める要因の一つと考えられています。

遺伝的要因

チック障害は、家族内でみられることがあり、遺伝的な体質が関係していると考えられています。ただし、遺伝だけで発症するわけではありません。体質に加えて、成長過程や生活環境などさまざまな要因が重なり合って発症すると考えられています。

チック障害になりやすい人

チック障害は男性に多く、女性と比べて3〜4倍程度発症しやすいとされています。小児期に発症することが多く、思春期にかけて症状が強まることがあります。

また、注意欠如・多動症(ADHD)や強迫症(OCD)などがある人では、チック症状がみられやすい傾向があります。さらに、家族にチック障害のある人がいる場合は、発症しやすくなる可能性があります。

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チック障害の検査・診断

チック障害の診断では、症状の種類や頻度、発症時期、症状が続いている期間などを確認します。さらに、ほかの疾患や薬剤の影響についても確認し、日常生活への支障などを含めて総合的に判断します。

問診

運動チック(まばたき、首振りなど)や音声チック(咳払い、声を出すなど)の種類、出現頻度、症状の変化を確認します。発症時期や持続期間(1年以上続いているかなど)についても詳しく伺い、診断基準に基づいてチック障害の種類を判断します。本人が意識して症状を止められるか、緊張や疲労によって症状が変化するかなども確認し、診察室での様子と合わせて総合的に診断します。

ほかの病気との鑑別

チックに似た症状は、てんかんやその他の不随意運動症、脳の器質的疾患、服薬中の薬剤の副作用などによっても起こることがあります。そのため、問診や身体検査、提携医療機関での画像検査・脳波検査などを通じて、ほかの身体疾患や神経疾患によるものではないかを慎重に確認します。こうした確認は、チック以外の疾患を見分け、症状に応じた対応を検討するために行われます。

発達特性や不安などの症状の確認

チック障害は、発達障害(ADHDやASDなど)や強迫症、不安障害などを伴うことがあります。当院ではチックの症状だけでなく、学校や職場、家庭での生きづらさや強いストレス要因、発達特性の有無なども慎重に確認します。症状だけではなく、背景にある心身の負担や生活上の困りごとを把握し、本人の状態や生活への影響を踏まえ、症状や困りごとに応じた支援方法を検討します。

生活上の支障の評価

エール・グローバル・チック重症度評価尺度(YGTSS)などの評価尺度や問診を活用し、チックの重症度や日常生活・学校生活への支障を確認します。公認心理師などと連携し、患者さんやご家族の負担に配慮しながら実施します。症状の強さだけでなく、本人がどの程度困っているかも確認し、今後の治療や環境調整の必要性を判断するための指標として活用します。


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チック障害の治療法

チック障害の治療では、症状の程度や日常生活への影響などを考慮し、心理教育や環境調整、心理療法、薬物療法などを検討します。併存する症状がある場合は、その治療も行います。

01

心理教育と環境調整

チック障害の治療では、患者さん本人やご家族が、チックは本人の意思の弱さや育て方が原因ではないことを理解することが大切です。無理に症状を止めさせようと注意したり叱ったりすると、本人の負担が大きくなる場合があります。そのため、症状に対して注目せず、温かく見守ることが基本です。家庭や学校、職場など周囲の人がチックへの理解を深め、本人が過度なストレスや自己否定感を抱えずに過ごせる環境を整えます。

02

行動療法・心理療法

チックの前兆となる違和感や不快感に気づき、チックが出そうになったときに別の動作を行うCBIT(チックに対する包括的行動介入)などの行動療法があります。また、チックに伴う不安やストレスなどに対しては、認知行動療法(CBT)が用いられることがあります。公認心理師などの専門家とともに、年齢や症状に応じたトレーニングを進めます。無理のないペースでチックへの対処方法を身につけ、日常生活への支障の軽減を目指します。

03

薬物療法

チック症状によって身体の痛みや、生活・学習上の大きな支障が生じている場合には、薬物療法が検討されます。チック症状によって身体の痛みや、生活・学習上の大きな支障が生じている場合には、薬物療法を検討することがあります。使用する薬剤は、年齢や症状、併存する疾患、副作用のリスクなどを考慮して医師が判断します。薬物療法では、つらい症状や過度な緊張などの状態に応じて薬を調整し、学校や仕事など日常生活への支障を軽減することを目指します。

04

併存する症状の治療

チック障害には、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)、強迫症、不安障害などが併存することがあります。チックそのものへの治療だけでなく、併存する症状についても治療や環境調整を行います。チックの症状だけでなく、背景にある心身の負担や生活上の困りごとも確認し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療を検討します。

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チック障害の受診目安

以下のような症状が繰り返し現れ、日常生活や学校・職場での生活に影響している場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

  • 無意識にまばたきを繰り返す、首を振る、顔をしかめる、肩をすくめる、口をすぼめる、跳びはねる、物や自分の体を叩くなどの動作が繰り返し現れる
  • 「んっ」「あっ」などの声、咳払い、鼻を鳴らす、大声や奇声、同じ言葉を繰り返す、意図せず不適切な言葉を発してしまうなどの症状が現れる
  • 症状が出る前に、身体の特定の部位に違和感や不快感があり、我慢すると苦痛や緊張を感じる
  • 学校や職場で周囲から指摘されたり、周囲の視線が気になったりして、学習や仕事に支障が出ている
  • 不安やイライラ、集中しづらいなどの状態があり、人前に出ることを避けるようになっている

チックは本人の意志や育て方が原因で起こるものではありません。一人で抱え込まずにご相談ください。

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当院のチック障害への取り組み

当院では、チック障害をはじめとした神経発達症や精神疾患でお悩みの方を対象に診療を行っています。

対応できる治療・サポート体制

当院では、日本精神神経学会 精神科専門医が、チックの症状だけでなく発達特性や不安、ストレスなどの背景も含めて診察します。ADHDやASDなどの発達障害や不安障害が併存している場合も、生活上の困りごとを確認し、一人ひとりに合わせた治療方針を検討します。

また、公認心理師と連携し、チックの仕組みを理解するための心理教育や、症状への対処方法を身につける行動療法、カウンセリングにも対応しています。学校や職場で困っている場合は、環境調整や各種診断書についても相談できます。

薬物療法は、チックによる痛みや生活・学習への支障が大きい場合などに検討します。症状や治療経過を確認しながら、心理療法や環境調整なども組み合わせて対応します。

初めて受診される方へ

ご来院後はまず問診票にご記入いただき、その内容をもとに医師が診察を行います。初診の診察時間は10〜15分程度が目安です。なお、混雑状況によっては、診察まで30〜40分程度お待ちいただく場合があります。診察後は症状に応じた処方や次回の予約について説明します。

気になっていること、困っていること、どんな小さなことでも構いません。まずは感じていることをそのままお話しください。

チック障害のある子どもへの接し方

チック障害のある子どもに対しては、周囲の理解と見守りが重要です。

まず、「やめなさい」「また出てる」などと症状を指摘しないことが大切です。チック症状は本人の意思で止めることが難しく、注意されることで緊張が高まり、症状が強くなることがあります。症状が出ていても普段どおりに接することが安心につながります。

また、学校生活や友人関係でストレスが強くなっていないか見守り、子どもの話を聞ける関係をつくることも大切です。学校とも連携し、周囲の理解を得ることが支えになります。症状が気になる場合は、叱ったり無理に抑えさせたりせず、医療機関への相談を検討してください。

FAQ

チック障害に関するよくある質問

チック障害について、患者さまやご家族から寄せられるよくあるご質問にお答えします。

Q

チック障害は放置しても大丈夫ですか?

A

チック症状は、成長とともに軽くなったり、自然に気にならなくなることもあります。一方で、症状の種類や程度によっては、学校生活や人間関係に影響が出ることもあります。

症状が数週間以上続いている場合や、日常生活に支障があると感じる場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。

Q

チック障害と癖の違いは何ですか?

A

チック障害と癖は似て見えることがありますが、本人の意思でコントロールできるかどうかという点に違いがあります。 癖は退屈や緊張など特定の場面で出やすく、意識すれば止められることが多いです。一方、チック障害は本人の意思とは関係なく繰り返し出現し、抑えようとしても一時的にしか止められません。 「同じ動きや声が繰り返し出る」「止めたくても止められない」と感じる場合は、医療機関への相談を検討してください。

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「これはチック障害なのだろうか」など、少しでも気になることがあれば、一人で抱え込まずにご相談ください。当院では、日本精神神経学会 精神科専門医による診療を行っています。
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