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過眠症

disease

過眠症について

「十分に眠ったはずなのに日中も強い眠気が続く」「朝なかなか起き上がれない」といった状態が続いている場合、過眠症の可能性があります。過眠症は怠けや意志の弱さによるものではなく、睡眠や覚醒の機能に関係する睡眠障害の一つです。放置すると、学校や仕事、家事などの日常生活に支障をきたすおそれがあります。

この記事では、過眠症の症状や原因、種類、治療法、セルフチェックリストについてわかりやすく解説するとともに、医療機関を受診する目安についても紹介します。

過眠症とは

過眠症とは、夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が続いたり、長時間眠っても眠気が改善しなかったりする睡眠障害です。単なる睡眠不足や生活習慣の乱れによる眠気とは異なり、さまざまな要因によって強い眠気が生じます。

日中の強い眠気が長期間続くと、仕事や学業、家事などの日常生活に支障をきたすことがあります。眠気によって集中力が低下したり、居眠りを繰り返したりする場合は、過眠症の可能性も考えられるため、医療機関への相談を検討しましょう。

過眠症の主な症状

過眠症の主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 日中に強い眠気が生じる
  • 授業中や会議中など、通常であれば眠らない場面で眠ってしまう
  • 長時間眠っても眠気や疲労感が残る
  • 朝なかなか起きられず、目覚めても意識がはっきりしない
  • 意欲が低下し、気分が落ち込むことがある

過眠症では、これらの症状によって学業や仕事、家庭生活に支障をきたすことがあります。日中の眠気が続き、日常生活に影響が出ている場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

過眠症の種類

過眠症にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。代表的な3つの種類を解説します。

ナルコレプシー

ナルコレプシーは、日中に強い眠気が現れる代表的な過眠症の一つです。突然眠ってしまう「睡眠発作」に加え、笑ったり驚いたりしたときに筋肉の力が抜ける「情動脱力発作(カタプレキシー)」など、特徴的な症状がみられることが特徴です。

脳の目覚めを保つ働きに異常が生じることで起こると考えられており、日中に強い眠気に襲われ、本人の意思に反して眠ってしまうことがあります。情動脱力発作では、膝がガクッと崩れたり、頭が垂れたりすることがあります。

また、入眠時や覚醒時に体が動かなくなる金縛りや、現実と区別しにくい鮮明な夢や幻覚を経験することもあります。

特発性過眠症

特発性過眠症は、十分な睡眠時間を確保しても眠気が十分に取れず、日中も強い眠気が続くことが特徴の過眠症です。ナルコレプシーのような情動脱力発作などは基本的にみられず、「十分に寝ているのに眠い」といった症状が中心です。

夜に長時間眠っても、十分に眠った感じが得られず、日中も強い眠気が続きます。また、昼寝をしても眠気が改善しにくく、朝なかなか起きられないこともあります。目覚ましに気づかなかったり、起こされてもすぐに起きられなかったりする場合があります。

反復性過眠症

反復性過眠症(クライン・レヴィン症候群)は、数日から数週間にわたって強い眠気や長時間の睡眠が続く状態を繰り返す疾患です。

症状が現れている期間は、1日の大半を眠って過ごすこともあり、起きている間も集中力や判断力が低下することがあります。一方で、症状がない期間は普段どおりの生活を送れることが多いため、周囲に理解されにくい場合があります。

過眠症の原因

過眠症の原因は一つではなく、さまざまな要因が関係していると考えられています。主な原因は以下のとおりです。

  • 脳や神経の働きの異常
  • うつ病や双極性障害、不安障害などの精神疾患
  • 甲状腺機能低下症や睡眠時無呼吸症候群などの身体疾患
  • 向精神薬や抗ヒスタミン薬、一部の降圧薬などの副作用
  • 夜勤や交代勤務などによる生活リズムの乱れ

過眠症の原因は人によって異なるため、症状が続く場合は医療機関への相談を検討しましょう。

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過眠症の検査・診断

過眠症の検査・診断では、睡眠の状況や生活習慣、身体的な状態などを確認し、眠気の原因を調べます。必要に応じて血液検査や睡眠検査などを行い、ほかの病気や薬の影響なども含めて総合的に判断します。

問診

医師による問診では、過眠の原因を調べるため、睡眠の状況や生活習慣について詳しく伺います。就寝・起床時刻や日中の眠気の程度、金縛りや幻覚などの症状についてもお聞きします。また、睡眠日誌やエプワース眠気尺度(ESS)などを用いて、睡眠不足や生活リズムの乱れ、精神的なストレスなどが眠気に関係していないかを確認します。

身体検査

過眠の症状は、甲状腺機能低下症などの身体疾患や、服用している薬の副作用によって生じる場合があります。そのため、必要に応じて血液検査や画像検査などを行い、身体疾患や薬剤の影響がないかを確認します。過眠の原因にはさまざまなものがあるため、身体的な状態や服用中の薬なども確認しながら、原因を調べていきます。

睡眠検査

過眠症の種類や原因を調べるため、必要に応じて睡眠検査を行います。代表的な検査には、夜間の睡眠状態や睡眠時無呼吸症候群の有無などを調べる「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」と、翌日に日中の眠気や眠りにつくまでの時間などを調べる「反復睡眠潜時検査(MSLT)」があります。これらの検査結果をもとに、過眠症の種類や睡眠の状態を確認します。


treatment

過眠症の治療法

過眠症の治療は、原因や症状に応じて行います。生活習慣の見直しや薬物療法などがあり、必要に応じて心理面のサポートや学校・職場などの環境調整を行う場合もあります。

01

生活習慣の調整と睡眠衛生指導

過眠症の治療では、規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠時間を確保することが重要です。日中に強い眠気が生じる場合は、15〜20分程度の短い仮眠を取り入れることもあります。また、カフェインやアルコールを摂取する時間帯を見直したり、就寝前のスマートフォンの使用を控えたりするなど、睡眠環境や生活習慣を整えます。

02

薬物療法

薬物療法では、日中の強い眠気を抑えるために、モダフィニルなどの薬が使用される場合があります。また、ナルコレプシーでみられる情動脱力発作(カタプレキシー)に対しては、抗うつ薬などが処方されることもあります。使用する薬や量は症状や状態に応じて異なるため、医師の診察を受けたうえで決定します。服用中は、副作用の有無などを確認しながら治療を進めます。

03

心理社会的アプローチと環境調整

過眠症による日中の眠気は、周囲から「怠けている」などと誤解されることがあります。そのため、必要に応じて学校や職場などに症状について伝え、短時間の仮眠をとる時間を設けたり、勤務時間を調整したりするなど、無理なく生活できる環境を整えることが大切です。また、過眠症による不安やストレスについて、カウンセリングなどを通して相談することもあります。

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過眠症の受診目安

過眠症では、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が続くことがあります。以下のような症状がみられる場合は、過眠症の可能性があるため、医療機関への相談を検討しましょう。

  • 夜間、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が続く
  • 授業中や会議中、食事中など、通常は眠らない場面でも眠気に襲われる
  • 朝なかなか起き上がれず、目覚めたあともしばらく頭がはっきりしない
  • 眠りに入るときや目覚める際に、金縛りや鮮明な幻覚を経験したことがある
  • 眠気のために学業や仕事、家事に支障をきたしている
  • 家族や周囲から「いつも眠そう」「起きられない」と言われる
  • 数日から数週間ほど過度に眠る時期と、通常どおりに過ごせる時期を繰り返している

これらは、あくまで目安であり、診断は医師が行います。気になる症状がある場合は、精神科・心療内科への相談をご検討ください。

support

当院の過眠症への取り組み

当院では、過眠症を含む睡眠障害・精神疾患に悩む患者さんへ、診察や治療、必要に応じた支援を行っています。

対応できる治療・サポート体制

当院では、日本精神神経学会認定の精神科専門医が、問診や評価尺度などを用いて症状を確認します。終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)や反復睡眠潜時検査(MSLT)などの精密検査が必要と判断した場合は、検査に対応している睡眠専門医療機関をご紹介します。

過眠症の確定診断後は、日中の過度な眠気を改善する治療薬(モダフィニル)の処方に対応できる医師が、精密検査を行った医療機関と連携しながら、服薬状況や体調の経過を確認します。また、公認心理師による睡眠衛生指導や心理カウンセリング、ご家族の同席診察、学校や職場への診断書の発行などにも対応しています。症状だけでなく、生活環境も含めて相談できる体制を整えています。

初めて受診される方へ

初めて受診される方は、まずWebまたはお電話でご予約ください。当日は問診票をご記入いただいたうえで、医師による診察を行います。初診の診察時間は10〜15分程度が目安です。なお、混雑状況によっては、診察まで30〜40分程度お待ちいただく場合があります。診察結果に応じて、お薬の処方や今後の治療方針についてご説明します。

「何を話せばいいかわからない」「うまく説明できるか不安」という方も普段感じている眠気や生活の困りごとなどを、そのままお話しいただければ大丈夫です。ご家族の付き添いにも対応していますので、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

過眠症の予防法

過眠症そのものを予防する方法は確立されていませんが、生活習慣を整えることは、睡眠環境を見直すきっかけになります。以下のような取り組みを意識してみましょう。

  • 毎日同じ時間に起床・就寝し、生活リズムを整える
  • 日中に適度な運動を取り入れ、夜に自然と眠りやすくする
  • 昼間に強い眠気がある場合は、15〜20分程度の短い仮眠をとる
  • 就寝1〜2時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控える
  • カフェインの摂取は午後遅い時間帯を避ける
  • ストレスを早めにケアし、精神的な負担を抱え込まないようにする

ただし、ナルコレプシーや特発性過眠症のように、生活習慣の改善だけでは症状の改善が難しい疾患もあります。眠気が続く場合は自己判断で対処せず、医療機関へ相談しましょう。

FAQ

過眠症に関するよくある質問

ここでは、過眠症に関してよく寄せられる質問とその回答を紹介します。

Q

過眠症は何時間くらい眠ってしまいますか?

A

過眠症の睡眠時間は、病気の種類によって大きく異なります。特発性過眠症では、夜に10〜12時間以上眠ることもあります。反復性過眠症(クライン・レヴィン症候群)では、症状が現れている期間に1日16〜20時間ほど眠るケースも少なくありません。

一方、ナルコレプシーでは夜間の睡眠時間は平均的であっても、日中に強い眠気が現れ、短時間の居眠りを繰り返すことが特徴です。

「十分に眠っているはずなのに眠気が取れない」という状態が続く場合は、睡眠時間だけでなく、睡眠の質や脳の覚醒機能にも目を向ける必要があります。

Q

過眠症は自然に治ることがありますか?

A

過眠症が自然に改善するかどうかは、原因や種類によって異なります。反復性過眠症(クライン・レヴィン症候群)では、発症から数年〜10年以上かけて症状が現れる頻度が減り、徐々に改善するケースがあります。 一方、ナルコレプシーや特発性過眠症は、長期間症状が続くことが多いとされています。また、うつ病などの精神疾患が原因で過眠症状が現れている場合は、原因となる疾患の治療によって、眠気の軽減が期待できる場合があります。 症状の現れ方や経過には個人差があるため、自己判断で様子を見るのではなく、医療機関で適切な診断や治療を受けることが大切です。

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