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PTSD

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PTSD(心的外傷後ストレス障害)について

交通事故や自然災害、暴力被害、大切な人との死別など、強い恐怖や衝撃を伴う出来事を経験したあとから、眠れない夜が続いたり、当時の記憶が突然よみがえったりすることがあります。「あのときのことが頭から離れない」「以前のように日常生活を過ごせない」と感じている場合、PTSDの可能性が考えられます。

この記事では、PTSDの症状や原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。気になる症状がある場合は、一人で抱え込まず、早めに精神科・心療内科へご相談ください。

PTSDとは

PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder)とは、日本語で「心的外傷後ストレス障害」と呼ばれる精神疾患です。交通事故や自然災害、暴力被害など、生命の危機を感じるような出来事や強い恐怖を伴う体験(トラウマ体験)のあとに発症することがあります。

トラウマ体験のあとに強いストレス反応が現れることは珍しくありませんが、その反応が長期間続き、日常生活や仕事、学校生活などに支障をきたしている場合には、PTSDの可能性があります。

子どもから大人まであらゆる年齢で発症する可能性があり、一部の人では症状が長期化することもあります。

PTSDの主な症状

PTSDの症状は人によって現れ方が異なるほか、年齢や発達段階によって症状の表れ方が異なる場合があります。

大人の場合

症状は主に「侵入症状」「回避症状」「認知・気分の陰性変化」「覚醒・反応性の変化」の4つに分類されます。

侵入症状:トラウマ体験を思い出してしまう

トラウマ体験の記憶が意思とは関係なく突然よみがえるフラッシュバックや、悪夢として繰り返し現れる状態です。

回避症状:トラウマ体験を思い出させるものを避ける

体験を思い出させる場所や人、話題などを避けようとする行動がみられます。

認知・気分の陰性変化:考え方や気分が変化する

自分や他者に対して否定的な考えを抱きやすくなったり、興味や関心が薄れたりすることがあります。

覚醒・反応性の変化:緊張や警戒が強くなる

些細なことにも強く驚く、常に周囲を警戒する、不眠が続く、怒りを抑えにくくなるなどの症状がみられます。

これらの症状によって、仕事や対人関係に支障が生じることがあります。

子どもの場合

子どもは大人のように自分の気持ちや体験を言葉で表現することが難しいため、行動や身体症状として現れることがあります。

乳幼児では、夜泣きや寝つきの悪さ、保護者から離れることへの強い不安、怖い体験を繰り返し遊びで表現する様子がみられる場合があります。

小学生以降では、学校への行き渋りや不登校、頭痛・腹痛などの身体症状として現れることがあります。

また、思春期になると、イライラや無気力、自分を責める気持ちが強くなったり、将来に希望を持てなくなったりすることもあります。年齢や発達段階によって症状の表れ方が異なるため、子どもの変化に早めに気づくことが大切です。

PTSDの原因

PTSDは、生命の危機を感じる出来事や、強い恐怖を伴う体験などをきっかけとして発症する精神疾患です。代表的な原因として、以下のようなものが挙げられます。

事故・災害・犯罪被害

交通事故や労働災害、地震や洪水などの自然災害、強盗や性暴力などの犯罪被害は、PTSDの代表的な原因のひとつです。突然生命の危機に直面したり、死傷の現場を目撃したりする体験は、強い恐怖や無力感を引き起こし、心身に大きな負担を与えることがあります。

被害を直接受けた方だけでなく、救助活動にあたった人がPTSDを発症する場合もあります。

虐待・DV・ハラスメント

身体的・性的・心理的虐待、パートナーからのDV(ドメスティック・バイオレンス)、職場でのハラスメントなどもPTSDの原因となることがあります。特に、逃げ場のない状態で長期間にわたって繰り返されるつらい体験は心に大きな影響を与えます。こうした状況が続いた場合には、「複雑性PTSD」と呼ばれる状態となり、症状が複雑になったり、長期間続いたりすることがあります。

大切な人との死別

突然の事故や災害、自死(自殺)などによって大切な人を失う体験は、PTSDの原因となることがあります。こうした体験のあとには強い悲しみを感じることが自然であり、その反応とPTSDの区別が難しい場合もあります。亡くなった場面が繰り返し思い出される、関連する場所や話題を避ける、不眠や強い緊張状態が続くなどの症状が長期間続く場合は、PTSDの可能性が考えられます。

入院や手術など強い恐怖を伴う体験

子どもの場合、入院や手術など、医療の場で強い恐怖や不安を経験したことがPTSDの原因となる場合があります。治療や入院に伴う強いストレスが心身の負担となり、その後も不安や恐怖が続くことがあります。

いじめ

学校や職場でのいじめも、PTSDの原因となることがあります。特に子どもの場合、継続的なからかいや仲間外れ、暴力などのいじめ被害によって強い恐怖や無力感を抱くことがあります。その影響が長く続くことで、日常生活や学校生活に支障をきたす場合があります。

PTSDになりやすい人

トラウマ体験をしたすべての人がPTSDを発症するわけではありません。しかし、次のような要因がある場合は、発症リスクが高まるとされています。

  • 過去に複数のトラウマ体験をしている
  • 幼少期に虐待やネグレクトなどの逆境体験がある
  • 不安障害やうつ病などの精神疾患を抱えている
  • 事件や事故のあとに十分な支援を受けられない
  • 家族や友人とのつながりが少なく、孤立しやすい環境にある

一方で、家族や友人、支援者など周囲の理解や関わり方が、PTSDの経過に関連する可能性が指摘されています。

PTSDの相談先

PTSDが疑われる症状が続いている場合は、早めに精神科や心療内科へ相談することが大切です。特に、不眠や強い不安、つらい記憶が繰り返しよみがえるなどの症状によって、日常生活や仕事・学校生活に支障が出ている場合は受診を検討しましょう。

「どこに相談すればよいかわからない」という場合は、お住まいの地域の保健所や保健センター、精神保健福祉センターなどの公的機関を利用する方法もあります。相談内容に応じて、医療機関や支援窓口を案内してもらえるため、一人で抱え込まずに相談することが大切です。

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PTSDの検査・診断

PTSDの診断では、トラウマ体験や症状について医師が詳しく確認します。必要に応じて質問票なども用い、症状の程度や日常生活への影響を総合的に判断します。

問診

医師がトラウマ体験や症状について詳しくお話を伺います。まずは、事故や災害、暴力などの体験の有無を確認します。次に、フラッシュバックや悪夢、体験を思い出させる場所や話題を避ける行動、強い緊張や怒りっぽさなどを確認します。このような症状が1か月以上続いているか、日常生活や仕事にどの程度影響しているかなどを総合的に確認し、診断します。

精神疾患や心理面の評価

PTSDの症状の背景には、うつ病や不安障害、睡眠障害などが関係していることがあります。また、発達特性が影響している場合もあります。医師による問診や心理評価を通じて、ほかの疾患や症状に影響している要因がないかを確認します。PTSDだけでなく、ほかの疾患や背景も含めて状態を把握したうえで、一人ひとりに合った治療方針を検討します。

症状や重症度を客観的に評価

IES-R(改訂出来事インパクト尺度)やPCL-5などのスクリーニングテストや質問票、評価尺度を用いて、PTSDに関連する症状の程度や日常生活への影響を確認します。公認心理師などと連携し、患者さんの負担に配慮しながら行います。質問票の結果は、現在の状態を把握し、治療方針を検討する際の参考として活用します。


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PTSDの治療法

PTSDの治療では、症状や状態に応じて心理療法や薬物療法などを行います。医師と相談しながら、一人ひとりに合った治療方法を検討します。

01

トラウマ・インフォームド・ケアと心理教育

治療では、TIC(トラウマ・インフォームド・ケア)の視点に基づき、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えます。そのうえで、フラッシュバックや強い緊張などの症状が、トラウマ体験によって起こる反応であることを説明します。トラウマによる心身への影響を正しく理解することで、自分を責める気持ちを和らげ、心理療法や治療に取り組むための土台を整えます。

02

トラウマ焦点化心理療法

安心して治療を受けられる環境を整えたうえで、トラウマに焦点を当てた心理療法を行います。恐怖や回避行動に対処するPE(持続エクスポージャー療法)やTF-CBT(トラウマフォーカスト認知行動療法)、眼球運動を用いてトラウマ記憶を再処理するEMDRなどがあります。公認心理師などの専門家と連携し、患者さん一人ひとりのペースに合わせながら、トラウマ記憶を整理し、症状の緩和を目指します。

03

薬物療法

PTSDによる強い不安や緊張、抑うつ、不眠などの症状に対して、薬物療法を行うことがあります。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが用いられるほか、症状に応じて漢方薬を使用する場合もあります。症状や体調、生活への影響などを確認しながら、必要な薬剤や用量を検討します。

04

ご家族への支援と環境調整

PTSDの治療では、ご家族や周囲の理解とサポートも大切です。イライラしやすくなる、音に敏感になるなどの症状についてご家族に説明し、患者さんが安心して過ごせる環境づくりを支援します。また、ご家族自身が不安や悩みを抱え込まないよう相談に対応し、必要に応じて職場や学校での環境調整や利用できる支援制度についても案内します。

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PTSDの受診目安

つらい体験(事故、災害、事件、暴力など)のあと、以下のような症状が1か月以上続き、日常生活や仕事に支障が出ている場合は、受診をおすすめします。

  • つらい記憶が突然よみがえったり、当時の悪夢を繰り返し見たりする
  • 体験を思い出させる場所や人、ニュースや話題などを避ける
  • 常に緊張して落ち着かない、些細なことに驚く、イライラしやすい
  • 強い不安や不眠が続き、以前のように楽しめない
  • 「自分が悪い」「誰も信用できない」など、強い罪悪感や不信感がある
  • 感情を感じにくくなったり、周囲との間に距離を感じたりする
  • 集中できず、仕事や家事が手につかない、出来事の一部を思い出せないことがある
  • 頭痛や倦怠感などの身体症状が続く、飲酒などの自暴自棄な行動が増える

気になる症状が続いている場合や、受診すべきか迷っている場合も、一人で抱え込まずにご相談ください。

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当院のPTSDへの取り組み

当院では、PTSDをはじめとするトラウマ関連の疾患の診療を行っています。

対応できる治療・サポート体制

PTSDの症状の背景には、発達障害(ASDやADHDなど)の特性や、うつ病・睡眠障害などが関係していることがあります。当院では、日本精神神経学会 精神科専門医が、トラウマ体験だけでなく、生まれ持った特性や心身の状態も含めて診療を行い、一人ひとりに合った治療方針を検討します。

また、強い緊張やイライラ、不眠、悪夢、抑うつ症状などに対しては、症状や体質に配慮しながら薬物療法を行います。SSRIなどを中心に必要な薬や量を検討し、西洋薬に抵抗がある方には、漢方薬を選択肢とすることもあります。

さらに、無理にトラウマ体験を詳しく話していただくのではなく、TIC(トラウマ・インフォームド・ケア)の考え方に基づき、安心して治療を受けられる環境を整えます。公認心理師とも連携し、症状への理解を深めながら、対処法を身につけられるよう支援します。

専門的な心理療法が必要な場合には、PEやEMDRなどに対応する医療機関や専門機関をご紹介することも可能です。

ご家族同席でのご相談や、ご家族のみの相談にも対応しています。病気や症状についてご家族にも理解していただけるよう説明し、必要に応じて職場や学校での環境調整についてもアドバイスします。

初めて受診される方へ

初めて精神科・心療内科を受診される際、「何を話せばよいかわからない」と不安に感じる方も多くいます。当院では、まずWebまたはお電話でご予約いただき、来院後に問診票へのご記入をお願いしています。その後、医師が症状を伺い、状態に応じて治療方針や処方についてご説明します。初診の診察時間は10〜15分程度が目安です。なお、混雑状況によっては、診察まで30〜40分程度お待ちいただく場合があります。

受診すべきか迷っている段階でも、気になっていることをそのままお話しいただくだけで構いませんので、お気軽にご相談ください。

FAQ

PTSDに関するよくある質問

PTSDについてよくいただくご質問にお答えします。

Q

子どもでもPTSDになりますか?

A

はい、子どもでもPTSDになることがあります。事故や虐待、いじめ、入院体験など、強い恐怖や無力感を伴う出来事がきっかけとなる場合があります。

子どもは大人と比べて体験した出来事や気持ちを言葉で表現することが難しいため、行動や体の症状としてサインが現れることがあります。気になる変化が続く場合は、「そのうち落ち着くだろう」と様子を見るだけでなく、早めに精神科・心療内科へご相談ください。

Q

PTSDとうつ病の違いは何ですか?

A

PTSDとうつ病は、気分の落ち込みや不眠など共通する症状があるため、混同されやすい疾患です。大きな違いは発症のきっかけにあります。PTSDは事故や災害、暴力被害などのトラウマ体験をきっかけに発症し、フラッシュバックや回避行動、過覚醒といった特徴的な症状がみられます。 一方、うつ病はさまざまな要因が関係して発症し、気分の落ち込みや意欲の低下、疲労感などが主な症状です。なお、PTSDとうつ病を併発することもあるため、症状だけで判断することは難しい場合があります。気になる症状がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

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まずはお気軽にご相談ください

「これはPTSDなのだろうか」「受診すべきかどうかわからない」という段階でも、一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。大阪・京橋駅から徒歩2分のむすびメンタルクリニックは、日本精神神経学会 精神科専門医が診察を行っています。
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