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神経性過食症

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神経性過食症について

食べ過ぎた後に、嘔吐や下剤の使用を繰り返してしまう方は、神経性過食症の可能性があります。神経性過食症は意志の弱さや性格の問題ではなく、脳や心の働きに関わる疾患です。一人で抱え込まず、早めに医療機関へ相談することが大切です。この記事では、神経性過食症の症状・原因・治療法・受診の目安についてわかりやすく解説します。

神経性過食症とは

神経性過食症(Bulimia Nervosa)は、摂食障害の一つです。短時間で大量の食べ物を食べる「過食」と、体重増加を防ぐために嘔吐や下剤の使用、過度な運動をしてしまう「代償行動」を繰り返します。

単なる食べ過ぎや意志の弱さではなく、精神的な要因やストレスなどが複雑に関係して発症すると考えられています。自力で改善を目指すことが難しい場合もあり、症状に応じて医療機関で相談することが大切です。

過食と代償行動を繰り返すうちに、強い罪悪感や自己嫌悪を感じることがあります。また、症状が続くと、仕事や学校、人間関係などの日常生活に支障が生じたり、心身の不調につながったりすることもあります。

拒食症との違い

拒食症(神経性やせ症)と神経性過食症は、どちらも摂食障害に分類される病気ですが、食行動の特徴に違いがあります。

拒食症は、体重が増えることへの強い不安から極端な食事制限を行い、著しい低体重になることが特徴です。

一方、神経性過食症は過食と嘔吐などの代償行動を繰り返しますが、体重は標準範囲内であることも多く、周囲が症状に気付きにくい場合があります。また、拒食症を発症した後に過食症状が現れたり、両方の症状がみられたりすることもあります。

そのため、体重だけで判断せず、食行動や心の状態を含めて、日本精神神経学会 精神科専門医に相談することが大切です。

神経性過食症の主な症状

神経性過食症の主な症状は、過食と代償行動を繰り返すことです。過食とは、短時間のうちに大量の食べ物を摂取し、「食べるのを止められない」「自分ではコントロールできない」状態を指します。その後、体重が増えることへの不安から、自ら嘔吐したり、下剤や利尿薬を使用したり、過度な運動や絶食をすることがあります。

また、体型や体重へのこだわりが強くなり、自分の価値を体重や見た目で判断しがちになることも特徴です。そのため、過食後に強い罪悪感や自己嫌悪を抱いたり、食事や体重のことが頭から離れなくなったりする場合があります。

さらに、嘔吐を繰り返すことで歯のエナメル質が溶けたり、唾液腺が腫れたり、体内のミネラルバランスが乱れたりするなど、身体にもさまざまな影響が現れることがあります。

神経性過食症の原因

神経性過食症は誰にでも起こる可能性がありますが、発症しやすい要因はいくつかあります。

  • 食欲や気分の調整に関わる脳内物質のバランスの変化
  • 家族に摂食障害や精神疾患のある人がいるなどの遺伝的な影響
  • 完璧を求めすぎる性格や自己評価の低さ
  • 強いストレスや不安、抑うつ状態
  • 過去のつらい体験や人間関係の悩み
  • 過度なダイエットや体型への強いこだわり
  • 美容や体型に関する強いプレッシャー
  • 家庭や学校、職場でのストレス

これらの要因が複雑に関係することで、過食や代償行動を繰り返しやすくなり、症状の発症や継続につながることがあります。

神経性過食症になりやすい人の特徴

神経性過食症は誰にでも起こる可能性がありますが、発症しやすいとされる特徴がいくつかあります。

年齢や性別では、思春期から20代の女性に多くみられる傾向があります。ただし、男性や中高年でも発症することがあります。

性格面では、完璧を求めすぎる方や責任感が強い方、他人の評価を気にしやすい方にみられることがあります。また、ストレスや不安を、食べることで解消しようとする傾向も関係すると考えられています。さらに、過度なダイエット経験や体重・体型への強いこだわり、学校や職場、人間関係でのストレスなども発症しやすくなる要因の一つです。

ただし、これらの特徴に当てはまるからといって必ず発症するわけではありません。神経性過食症はさまざまな要因が複雑に関係して発症するため、複数の要因が重なったときに発症しやすくなると考えられています。

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神経性過食症の検査・診断

神経性過食症は、過食や代償行動の状況、心理状態などを確認して診断します。必要に応じて身体への影響を調べる検査も行います。

問診

神経性過食症の診断では、まず医師が問診を行います。制御できないほどの量を食べてしまう過食の頻度や、食後に自ら嘔吐する、下剤を過量に使用するなどの代償行動があるかを確認します。また、体重や体形に対する考え方、過食や代償行動による精神的な苦痛についても確認し、症状の経過や生活への影響を含めて診断します。

身体的精査

過食や嘔吐、下剤の過量使用を繰り返している場合、体重が標準範囲内でも身体に影響が生じることがあります。必要に応じて血液検査を行い、カリウムなどの電解質の状態や脱水、腎機能などを確認します。また、心電図検査によって不整脈などの心臓への影響を確認する場合もあります。歯のエナメル質の損傷や唾液腺の腫れ、吐きダコ(手の甲にみられる傷)など、身体に現れる変化も診断の参考にします。

精神疾患や心理面の評価

神経性過食症の診断では、過食や代償行動だけでなく、体重や体形に対する考え方、自己評価なども確認します。過食後の罪悪感や自己嫌悪、過食のきっかけとなるストレスや不安、抑うつなどについても医師が確認します。さらに、うつ病や不安症など、神経性過食症と併存する精神疾患の有無についても評価し、症状や生活状況を踏まえて治療方針を検討します。


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神経性過食症の治療法

神経性過食症の治療では、心理療法を中心に、食行動の調整や薬物療法、家族への支援などを組み合わせ、症状や生活状況に応じて治療方針を検討します。

01

心理カウンセリング・認知行動療法

神経性過食症の治療において中心となるのが認知行動療法(CBT)です。認知行動療法では、「太ることへの強い恐怖」や体重・体形に対する偏った捉え方、過食後の強い自己嫌悪などに着目します。食事や感情の記録を通して、過食や嘔吐などの代償行動につながる状況や考え方を整理し、別の対処方法を身につけていきます。食行動と心理面の両方に働きかけながら、過食と代償行動を繰り返すパターンを見直していきます。

02

栄養・食行動の調整

過食を避けようとして食事を抜くなど、極端な食事制限を行うと、強い空腹感から過食につながる場合があります。そのため、医師の指導のもと、食事の回数や内容を見直し、規則正しく食べる習慣を整えていきます。必要な栄養を適切に摂取しながら、食事に対する不安や偏った捉え方にも目を向け、無理のない範囲で食行動の改善を進めます。

03

家族サポートと環境調整

神経性過食症では、過食や嘔吐などを周囲に隠してしまい、悩みを一人で抱えることがあります。必要に応じてご家族への説明や同席診察を行い、神経性過食症の特徴や本人への接し方について理解を深めます。家族が症状を責めるのではなく、本人の気持ちや困りごとに目を向けられるよう支援し、治療を継続しやすい環境づくりをサポートします。

04

薬物療法

薬物療法は、抑うつや不安などの症状、併存する疾患に応じて検討されます。使用する薬剤の種類や使用方法は、患者さんの状態を踏まえて医師が判断します。薬物療法だけでなく、心理的な支援や食行動への支援などを組み合わせながら治療を進めます。薬物療法のみで対応するのではなく、心理カウンセリングや食行動への支援などと組み合わせながら、症状や生活状況に応じた治療を行います。

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神経性過食症を放置した場合のリスク

神経性過食症を放置すると、心身の健康にさまざまな影響が現れる可能性があります。

身体面では、繰り返す嘔吐によって体内のミネラルバランスが乱れ、心臓に負担がかかることがあります。また、胃酸の影響で食道や歯が傷つき、逆流性食道炎などの消化器症状を引き起こすことも少なくありません。さらに、栄養状態の偏りが続くと、月経不順や貧血、骨密度の低下につながるおそれがあるため注意が必要です。

精神面では、強い罪悪感や自己嫌悪が続き、うつ病や不安障害を併発する可能性があります。その結果、学校や仕事、人間関係に支障が生じることも少なくありません。症状の悪化を防ぐためにも、早めに精神科や心療内科へ相談することが大切です。

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神経性過食症の受診目安

次のような症状がある場合、医療機関への相談を検討する目安になります。

  • 抑えきれない過食を繰り返し、激しい罪悪感や自己嫌悪がある
  • 食後に太ることへの不安から、自ら嘔吐したり、下剤や利尿薬を過量に使用したりする
  • 過食や嘔吐を周囲に隠し、一人で悩みを抱えている
  • めまい、だるさ、むくみ、手足のしびれなど、体調の変化がある
  • 体重や体形のことが頭から離れず、仕事や学業、人間関係に支障が出ている

過食や嘔吐などを自分の意思でコントロールできず、体重や体形へのこだわりによって日常生活や心身に影響が出ている場合は、受診を検討しましょう。

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当院の神経性過食症への取り組み

当院では、神経性過食症に関するご相談を受け付けています。

対応できる治療・サポート体制

神経性過食症は体重が標準範囲にある場合もあり、周囲から症状に気づかれにくいことがあります。当院では日本精神神経学会 精神科専門医が、体重の変化だけでなく、過食や嘔吐の状況、体重や体形への考え方、不安などの精神面の状態も確認します。

また、公認心理師と連携し、認知行動療法(CBT)やカウンセリングにも対応しています。過食や嘔吐につながる状況や考え方を整理し、ストレスへの対処方法を検討します。必要に応じてご家族からの相談や同席診察にも対応します。

さらに、抑うつや不安などの症状や併存する疾患に応じて、薬物療法を行う場合があります。使用する薬剤は、患者さんの状態や副作用などを考慮して医師が判断します。通学や通勤など生活面の不安についても相談でき、必要に応じて診断書の発行などにも対応しています。

初めて受診される方へ

初めて受診される方は、まずWeb予約またはお電話にてご予約ください。当日は問診票にご記入いただき、その後、医師による診察を行います。初診の診察時間は10〜15分程度が目安です。なお、混雑状況によっては、診察まで30〜40分程度お待ちいただく場合があります。診察後、必要に応じて処方や次回のご予約をお取りします。

「何を話せばよいかわからない」という方も、症状や困っていることを医師が伺います。ご家族の付き添いも可能です。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

神経性過食症に対する家族や周囲の接し方

神経性過食症の回復には、家族や周囲の理解とサポートが欠かせません。しかし、良かれと思った言葉が本人を傷つけてしまうこともあるため、配慮が必要です。

「なぜやめられないの?」「もっと頑張れば治るのでは?」といった言葉は避けましょう。神経性過食症は本人の意志だけではコントロールが難しい病気であることを理解することが大切です。

また、食事や体重、体型の話題ばかりに注目するのではなく、本人の気持ちや日常生活に目を向けるよう心がけましょう。受診を勧める際も責めるのではなく、「一緒に考えていこう」という姿勢で寄り添うことが大切です。家族だけで抱え込まず、必要に応じて医療機関へ相談することも検討しましょう。

FAQ

神経性過食症に関するよくある質問

神経性過食症についてよくいただくご質問にお答えします。

Q

神経性過食症は自然に治りますか?

A

症状が一時的に落ち着くこともありますが、多くの場合は専門的な治療が必要です。一時的に症状が落ち着いても、ストレスなどをきっかけに再び過食や嘔吐を繰り返してしまうことがあります。

また、治療を受けずにいると症状が長引いたり、悪化したりする可能性があります。症状の改善を目指すためには、早めに精神科や心療内科へ相談し、適切な治療やサポートを受けることが大切です。

Q

学校や仕事を続けながら治療できますか?

A

はい。神経性過食症は、学校や仕事を続けながら治療を受けることが可能です。治療は外来で行われることが多く、通院の頻度や治療内容は、症状の程度や生活状況に合わせて医師と相談しながら決めていきます。 ただし、症状が重い場合や日常生活に大きな支障が出ている場合には、休学や休職を検討した方がよいこともあります。その際は、医師が現在の状況を踏まえながら、今後の治療や生活について一緒に考えていきます。

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