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アルコール依存症

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アルコール依存症について

「最近、飲酒量が増えてきた」「飲まないと落ち着かない」と感じていても、アルコール依存症なのか判断できず、受診をためらっている方は少なくありません。アルコール依存症は、本人の意志の弱さが原因ではなく、脳の働きに関わる疾患です。早期に適切な治療を受けることで、日常生活への影響を抑えられる可能性があります。

この記事では、アルコール依存症の症状や原因、精神科で行われる検査や治療について解説します。

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、飲酒を自分でコントロールできなくなり、飲酒が生活の中心になってしまう疾患です。主な特徴として、アルコールへの強い渇望、飲酒量やタイミングのコントロール困難、飲酒中止時の離脱症状などが挙げられます。

アルコール依存症は少しずつ進行するため、「自分はまだ大丈夫」と思っているうちに症状が悪化することも少なくありません。飲酒量が増えている場合や、飲酒を控えた際に手の震えや不安感が現れる場合は、早めに医療機関へ相談することが重要です。

アルコール依存症の主な症状

アルコール依存症の症状は、身体的な症状と精神・行動面の症状に分けられます。

身体的な症状としては、飲酒をやめたり量を減らしたりした際に現れる離脱症状が代表的です。手の震えや発汗、吐き気、不眠などがみられ、重症の場合はけいれん発作や振戦せん妄(幻覚や意識障害など)が現れることもあります。

精神・行動面では、お酒を飲みたいという強い欲求(渇望)が生じたり、「今日だけは飲まない」と決めても守れなかったりすることがあります。また、以前より飲酒量が増えても酔いにくくなったり、飲酒を優先するあまり、仕事や家事、人間関係に支障が出ることもあります。さらに、飲酒中の記憶がなくなるほど飲んでしまうことも症状のひとつです。

アルコール依存症のチェックリスト

以下は、アルコール依存症の可能性を確認するためのチェックリストです。ご自身や家族の状態を確認する際の参考にしてください。

  • 飲み始めると止められないことがある
  • 飲酒量を減らせなかったことがある
  • 飲まないと手の震えや発汗、不眠が現れる
  • 以前と同じ量を飲んでも酔いにくくなり量が増えた
  • 飲酒が原因で仕事や家事に支障が出たことがある
  • 飲んだあとの記憶がないことがある
  • 家族や友人から飲み過ぎを指摘されたことがある
  • 人間関係や健康に問題があっても飲み続けている

複数あてはまる場合は、アルコール依存症の可能性があります。早めに精神科や心療内科などの医療機関へ相談しましょう。

アルコール依存症になりやすい人

アルコール依存症は特別な人だけがなるものではなく、飲酒習慣がある方であれば誰でも発症する可能性があります。とくに、以下のような方はリスクが高いとされています。

  • 家族にアルコール依存症の方がいる方
  • 強いストレスや不安を抱えている方
  • 若い頃から飲酒習慣がある方
  • 飲酒の機会が多い環境にいる方
  • 一人で過ごす時間が長く、孤独を感じやすい方
  • うつ病・不安障害などの精神疾患を抱えている方

これらの要因が重なると、アルコール依存症のリスクが高まる可能性があります。

アルコール依存症の相談先

アルコール依存症が疑われる場合は、以下の相談窓口や医療機関を利用しましょう。

医療機関

依存症の診断や治療に対応しており、精神科や心療内科などで相談できます。

保健所・精神保健福祉センター

各都道府県に設置されており、本人だけでなく家族からの相談も受け付けています。

断酒会・自助グループ

同じ悩みを持つ仲間と交流しながら回復を目指せます。医療機関での治療と並行して活用されることもあります。

「自分が依存症かどうかわからない」という段階でも相談を受け付けている機関は多くあります。早めに相談することで、現在の飲酒状況や心身の状態に応じた支援につながります。

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アルコール依存症の検査・診断

アルコール依存症の診断では、飲酒の状況や生活への影響、心身の状態などを確認します。必要に応じて質問票や血液検査なども行い、総合的に診断します。

問診

DSM-5などの国際的な診断基準を参考に、医師が飲酒量や飲酒頻度、飲酒をコントロールできているかなどを確認します。また、飲酒を減らしたりやめたりした際のイライラや不眠、飲酒を隠すための行動、仕事や家族関係への影響などについても詳しく伺います。飲酒による心身への影響を総合的に確認し、診断を行います。

質問票による評価

AUDIT(アルコール使用障害同定テスト)などのスクリーニングテストや質問票を用いて、飲酒量や飲酒による生活への影響を確認します。質問票への回答を通じて、現在の飲酒状況や問題の程度を整理し、アルコール依存症の可能性を評価します。また、評価結果は治療方針を検討する際の参考にもなります。

精神疾患・心理面の評価

過度な飲酒の背景には、うつ病や不安障害、不眠症、発達障害(ADHDなど)や強いストレスなどが関係している場合があります。医師による問診や心理的な評価を通じて、こうした病気や背景がないかを確認します。飲酒だけに目を向けるのではなく、その背景にある問題も把握することで、状態に合った治療につなげます。

身体検査・血液検査

過度な飲酒による身体への影響を確認するため、血液検査や身体診察を行います。γ-GTPやAST・ALT、MCV(赤血球の大きさを示す値)などを確認し、飲酒による肝機能への影響などを調べます。また、飲酒を中断したり量を減らしたりした際に、手の震えや発汗、不眠、強い不安などの離脱症状がないかを確認します。


treatment

アルコール依存症の治療法

アルコール依存症の治療では、飲酒をやめるための心理療法や薬物療法などを行います。本人の状態や目標に合わせて治療方法を検討します。

01

動機づけ面接・認知行動療法

治療への迷いや抵抗がある場合は、動機づけ面接を通じて、お酒を控えたりやめたりする気持ちを整理していきます。また、認知行動療法では、「少しなら大丈夫」といった飲酒につながる考え方に気づき、お酒を飲みたくなるきっかけへの対処法を身につけます。お酒に頼らない生活習慣や、飲酒したい気持ちへの対処法も考えていきます。

02

自助グループ・集団療法

断酒会やAA(アルコホリクス・アノニマス)などの自助グループや、医療機関で行われる集団療法への参加も治療の一環です。同じ悩みを持つ人と経験や悩みを共有することで、孤独感を和らげ、断酒を続けるためのヒントを得られます。仲間と支え合いながら、断酒を続けるための環境を作ることにもつながります。

03

ご家族へのアプローチと環境調整

ご家族がお酒による問題の後始末をしたり、本人の失敗をかばったりすることを「イネーブリング」といいます。こうした対応が続くと、結果的に飲酒問題を長引かせることがあります。そのため、ご家族への説明や、ご家族向け自助グループ(アラノンなど)への参加を案内します。また、自宅にお酒を置かないなど、本人が治療に取り組みやすい環境を整えます。

04

薬物療法

断酒を続けるための薬であるレグテクトや、飲酒量を減らすためのセリンクロ、抗酒薬などを、患者さんの目標や状態に合わせて使用します。また、断酒初期に現れる手の震えや不眠などの離脱症状や、うつや不安などの症状に対して薬を使用することもあります。薬物療法は、断酒の維持や飲酒量の低減、離脱症状などへの対応を目的として、患者さんの状態に応じて行います。

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アルコール依存症を放置するリスク

アルコール依存症を放置すると、身体面・精神面・社会面でさまざまな問題が生じる可能性があります。

身体面のリスク

肝硬変や膵炎、末梢神経障害、ウェルニッケ脳症などの疾患を発症するリスクが高まります。

精神面のリスク

うつ病や不安障害の悪化、認知機能の低下につながります。

社会面のリスク

仕事上のトラブルや休職・失職、家族関係の悪化、経済的な問題などにつながることがあります。

適切な治療を受けずに飲酒を続けると、身体依存が進み、自力で飲酒をコントロールすることがさらに難しくなります。気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。

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アルコール依存症の受診目安

以下のような症状があり、日常生活や仕事、家族関係に支障が出ている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

  • 「少しだけ」のつもりでも飲み始めると止められず、飲む量や時間をコントロールできない
  • お酒が切れると、手の震えや発汗、不眠、強い不安などが現れる
  • 飲み方を指摘されるとイライラしたり、飲酒を隠したりする
  • 飲酒量や借金について嘘をついたり、朝や昼からお酒を飲んだりする
  • 遅刻や欠勤が増える、家族とのトラブルや暴言など、仕事や家庭に支障が出ている
  • 飲酒中の出来事を後から思い出せないことが頻繁にある
  • 健康診断などで肝機能の異常を指摘されたり、周囲から心配されたりしても飲酒をやめられない

アルコール依存症は本人が病気に気づきにくく、自分だけで飲酒をやめることが難しい場合があります。ご家族からの相談も受け付けています。

support

当院のアルコール依存症への取り組み

当院では、アルコール依存症の治療において、患者さん一人ひとりの状況に応じた支援を行っています。

対応できる治療・サポート体制

当院では日本精神神経学会 精神科専門医が心身の状態や飲酒に至った背景を丁寧に確認します。患者さん一人ひとりの目標(断酒または減酒)に合わせ、処方要件を満たした医師が処方する減酒薬セリンクロや、断酒を続けるための薬であるレグテクトなどを用いた薬物療法を行います。離脱症状の有無や程度を確認し、必要に応じて専門医療機関と連携しながら治療を行います。

また、公認心理師と連携し、治療への迷いや不安に寄り添いながら、動機づけ面接や認知行動療法を行います。お酒を飲みたくなるきっかけへの対処法や、お酒に頼らない生活習慣を一緒に考え、患者さんのペースに合わせて治療を進めます。

さらに、ご家族からの相談や、ご家族同席での診察にも対応しています。お酒による問題への適切な対応方法をお伝えし、ご家族だけで悩みを抱え込まないようサポートします。必要に応じて、自助グループなどについてもご案内します。

そのほか、断酒会やAAなどの自助グループ、入院治療に対応する専門医療機関、行政の相談窓口などとスムーズに連携します。必要に応じて診断書の発行や生活環境についての相談にも対応し、治療を続けながら日常生活を送れるよう支援します。

初めて受診される方へ

初めて受診される方は、まずWebまたはお電話でご予約ください。当日は問診票にご記入のうえ医師が診察を行います(初診は10~15分程度です)。「何を話せばいいかわからない」とご不安な方でも、日頃から気になっていることをそのままお話しいただければ大丈夫です。飲酒に関するお悩みはもちろん、睡眠や気分の変化など気になることをお気軽にご相談ください。

本人だけでなく、ご家族からのご相談もお受けしています。

アルコール依存症の予防法

アルコール依存症を予防するためには、適切な飲酒習慣を心がけ、飲酒量の増加に早めに気づくことが大切です。飲酒量を把握する際は、純アルコール量を目安にするとよいでしょう。たとえば、ビール中瓶1本(500mL)には約20gの純アルコールが含まれます。適量を意識することに加え、以下の点にも注意しましょう。

  • 飲酒しない日を設ける
  • 飲酒以外のストレス解消法を持つ
  • 寝酒の習慣を避ける
  • 一人で飲む機会が増えすぎないようにする
  • 飲酒量が増えていると感じたら早めに医療機関へ相談する

アルコール依存症は、自分では気づきにくい疾患です。家族や周囲の人が変化に気づいた場合は、医療機関へ相談することが重要です。

FAQ

アルコール依存症に関するよくある質問

アルコール依存症に関するよくある質問をまとめました。

Q

仕事に通いながら治療できますか?

A

症状が比較的軽い場合は、仕事を続けながら外来で治療を受けることが可能です。ただし、離脱症状が強い場合や症状が進行している場合は、入院治療が必要になることもあります。まずは医師に相談し、状態に応じた治療方針を検討しましょう。

Q

治療にはどれくらいの期間がかかりますか?

A

アルコール依存症の治療期間は、症状の重さや治療の経過によって異なります。断酒の継続や再発予防のため、数か月から数年にわたり治療を続けるケースも少なくありません。治療期間は症状によって異なるため、詳しくは医師にご相談ください。

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「自分はアルコール依存症なのだろうか」「家族の飲酒が心配だ」とお感じの方は、一人で悩まずに当院へご相談ください。

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