子ども ゲームやめない
子どもがゲームをやめない状態について
「いい加減にやめなさい」と声をかけても、子どもがゲームをやめない。そのような状況に悩んでいる保護者は少なくありません。長時間ゲームを続けることで、睡眠不足や学業への影響、さらには親子関係の悪化につながることもあります。
この記事では、子どもがゲームをやめられない原因から、家庭での関わり方、相談先まで詳しく解説します。
子どもがゲームをやめられない原因
子どもがゲームをやめられないのは、単にゲームが好きだからとは限らず、背景にさまざまな要因が関係している場合があります。ゲームには達成感や他者から認められている感覚を得やすい仕組みがあり、脳の報酬系が刺激されることでドーパミンが分泌され、「もう少し続けたい」という気持ちが生じやすくなります。そのため、自分の意志だけではやめることが難しくなる場合があります。
また、学校や家庭でのストレスや孤独感から、ゲームが心の拠り所になっているケースもあります。ADHDやASDなどの発達特性がある場合、特性によってはゲームの利用を自分で調整することが難しくなることがあります。
ゲームが子どもに与える影響
長時間のゲームが日常化すると、子どもの心身にさまざまな影響が生じることがあります。以下に、医療的観点から代表的な影響を挙げます。
日常生活に支障が出る
ゲームでは、達成感や報酬をすぐに得られるため、もっと続けたいという気持ちが強くなることがあります。その結果、ゲームの時間を自分でコントロールすることが難しくなり、日常生活に支障が出る場合があります。
また、ADHDなどの発達特性がある場合は、目の前の刺激や報酬に注意が向きやすいことから、ゲームに長時間没頭することがあります。
睡眠障害と身体面への悪影響
夜遅くまでゲームを続けることで、睡眠時間が短くなったり、昼夜逆転などの生活リズムの乱れが生じたりする場合があります。睡眠不足は、成長期の身体発達や免疫機能に影響を及ぼすほか、朝起きられないことによる体調不良につながる場合があります。
さらに、長時間同じ姿勢でゲームを続けることで、眼精疲労や頭痛、肩こりなどの身体的な不調が生じることもあります。運動する時間が減ることで、運動不足や体力低下につながる場合もあります。
感情をコントロールしにくくなる
ゲームへの没頭や睡眠不足が続くと、疲労や睡眠不足の影響によって、感情をコントロールしにくくなる場合があります。ゲームを中断するよう声をかけた際には、強く怒ったり、暴言を吐いたりすることもあります。
また、ゲームをしていないときでもイライラしやすくなり、些細な刺激に対して感情的になりやすくなる場合があります。
学業不振や不登校などの社会的機能の低下
生活の優先順位がゲーム中心になると、宿題や勉強、日常の役割が後回しになる場合があります。授業中の集中力が低下したり、朝起きられない状態が続いたりすると、成績の低下や遅刻・欠席の増加につながり、不登校などの問題に発展する場合もあります。
また、現実の生活で成功体験や周囲から認められる経験を得にくくなることで、よりゲームの世界に逃避するようになり、ゲームと現実生活の悪循環につながることもあります。
現実の対人関係の希薄化とコミュニケーションの偏り
ゲームやネット上のつながりに過度に依存するようになると、家族や学校の友人など、現実の人間関係を避けるようになる場合があります。家族との会話が減ったり、自室にこもる時間が増えたりするなど、日常の対人関係に影響が生じることもあります。
また、現実の生活で居場所や安心感を得にくくなると、ゲーム内で得られる評価やステータスに強くこだわるようになる場合があります。
ゲームをやめられない子どもの特徴
ゲームをやめられない子どもには、いくつかの共通する特徴が見られます。ゲームをやめるよう声をかけると激しく怒ったり、ゲームをしていない時間は無気力になったりする場合は、ゲームとの付き合い方に問題が生じている可能性があります。
また、食事や入浴、睡眠よりもゲームを優先する、学校を休んでまでゲームを続ける、ゲームができないと強い不満やイライラを示すといった行動が見られることもあります。
こうした特徴が複数当てはまる場合は、家庭での対応だけで抱え込まず、専門機関への相談を検討しましょう。
ゲームがやめられない子どもにやってはいけないこと
子どもがゲームをやめられず悩んでいるとき、保護者の対応によっては状況が悪化することがあります。特に避けたいのは、理由を説明せずに突然ゲーム機器を取り上げることです。このような対応をすると、子どもの怒りや反発を招き、親子関係が悪化する可能性があります。
また、感情的に怒鳴ったり長時間説教したりすることも、子どもが心を閉ざす原因になりかねません。ゲームそのものを一方的に否定したり、友人と比較したりする発言も避けたほうがよいでしょう。まずは頭ごなしに否定せず、子どもの話に耳を傾けることが問題への対応を考えるきっかけになります。
子どもがゲームをやめないときの親の関わり方
ゲームをやめない子どもに対して、家庭では段階的に対応していくことが大切です。
まずは子どもの気持ちを理解する
まずは、子どもがなぜゲームに夢中になっているのかを理解しようとする姿勢を持ちましょう。ゲームに夢中になる背景には、「学校で嫌なことがある」「友達とのつながりを感じられる場所になっている」など、さまざまな要因が関係している場合があります。
頭ごなしに否定するのではなく、「そのゲームのどんなところが好きなの?」「ゲームをしているときはどんな気持ちになる?」など、子どもが自分の気持ちを話しやすい問いかけをしてみてください。子どもが理解されていると感じることで、話し合いがしやすくなり、その後のルール作りも進めやすくなります。
ゲーム時間のルールを一緒に決める
保護者がルールを決めて一方的に守らせようとすると、子どもは反発しやすくなります。一方で、子ども自身が話し合いに参加して決めたルールであれば、守ろうとする気持ちが生まれやすくなります。
たとえば、「1日のうち、いつゲームをするか」「何時間までにするかを決める」「宿題や食事を済ませてからにする」といった内容を子どもと一緒に考えましょう。また、決めたルールを紙に書いて目につく場所に貼るのも有効です。
最初から厳しいルールを設けるのではなく、無理のない範囲から始めることが大切です。
少しずつ利用時間を減らしていく
急にゲームを禁止したり、大幅に利用時間を減らしたりすると、子どもの強い反発や気持ちの不安定さにつながることがあります。そのため、利用時間は段階的に減らしていくことが大切です。
たとえば、「今週は、1日3時間を2時間30分に減らす」など、無理なく達成できる目標を設定しましょう。また、できたときにはできたことを認め、褒めましょう。
スポーツや読書など、ゲーム以外に楽しめる活動を取り入れることも有効です。ゲーム以外の楽しみが増えることで、自然とゲームとの付き合い方を見直しやすくなります。
家庭だけで難しい場合は専門機関へ相談する
家庭で対応を続けても改善がみられない場合や、子どもの様子が気になる場合は、専門機関への相談を検討しましょう。「まだ受診するほどではない」と感じる場合でも、早めに相談することで、状況を整理しやすくなります。
相談先
子どもがゲームをやめられずに悩んでいる場合の相談先には、精神保健福祉センターや児童相談所、子ども家庭支援センターなどがあります。また、精神科や心療内科では、ゲーム依存の背景にある発達特性や心理的な問題も含め、状況を総合的に評価してもらえます。
ゲームをやめられない子どもへの心療内科・精神科でのサポート
心療内科・精神科では、ゲームをやめられない背景にある心理的・発達的な要因を含めて評価し、子どもと家族の両方に対するサポートを行っています。主なサポートの内容を紹介します。
相談
ゲームに没頭してしまうお子さんや、対応に悩んでいる保護者の方を対象に、ゲームとの関わり方や日常生活での困りごとについてお話を伺います。ゲームの問題を本人の意志の弱さだけの問題として捉えるのではなく、学校や家庭でのストレス、日常生活で感じている困りごとなど、ゲームに没頭する背景についても丁寧に確認します。
また、家庭での接し方やゲームとの距離の取り方についても一緒に考え、子どもやご家族が抱えている悩みを整理しながら、今後の対応を検討します。
診断
国際的な診断基準を参考に、ゲームの利用状況や重症度、日常生活への影響などを確認します。また、ADHD(注意欠如・多動症)などの発達特性や、うつ病、適応障害などの精神的な不調が背景にないかも確認します。
「育て方の問題」や「本人の意志の弱さ」と決めつけるのではなく、子どもの状態を多角的に確認し、必要な支援や治療について検討します。
環境調整
ゲーム障害やゲームへの依存がみられる場合は、本人の意志だけに頼るのではなく、ゲームと距離を置きやすい環境を整えることも大切です。ペアレンタルコントロールによる時間制限や、ゲーム機を目につきにくい場所に置くなど、ご家族でルールを決める方法があります。
また、スポーツや趣味など、ゲーム以外にも楽しめる活動を取り入れ、生活の中で過ごす時間のバランスを整える方法についても検討します。
心理療法
ゲームに没頭するきっかけとなるストレスや寂しさ、退屈さなどを整理し、ゲームをしたくなるときの考え方や行動パターンを振り返ります。
認知行動療法(CBT)では、ゲームを一方的に禁止するのではなく、ストレスを感じたときの対処方法を身につけることなどを通して、ゲームとの付き合い方を考えていきます。必要に応じて、公認心理師などと連携して支援を行います。
薬物療法
ゲーム障害そのものを直接治療する薬はありませんが、背景にあるADHD(注意欠如・多動症)などの発達特性や、不眠、抑うつなどの症状に対して、必要に応じて薬物療法を検討することがあります。
薬物療法を行う場合は、子どもの年齢や症状、生活への影響などを確認しながら、一人ひとりの状態に合わせて薬の種類や使用方法を検討します。
ゲームがやめられない子どもの受診目安
以下のような様子がみられる場合は、医療機関への相談を検討する目安になります。
- 時間やルールの約束を守れず、「あと10分」と言いながら、毎日何時間もゲームを続けている
- ゲームを中断するよう声をかけると、壁を叩く、物を壊す、暴言や暴力など、激しい怒りを示す
- 朝起きられず、遅刻や欠席が増え、学業に取り組めない状態や、不登校傾向
- 食事や入浴、着替えなどの基本的な生活習慣を面倒に感じ、身の回りのことをしなくなる
- 家族との会話を避けて自室にこもる、無断で課金するなどの問題が起きている
- ゲーム以外の趣味や外出への関心が薄れ、ゲームができないとイライラして落ち着かなくなる
子どもが自分でゲームをコントロールできず、日常生活や家族関係に支障が出ている場合は、無理をせず早めに相談しましょう。
当院のゲームがやめられない子どもへの取り組み
対応できる治療・サポート体制
当院では、ゲームの利用状況だけでなく、背景にある発達特性や心理的な要因、家庭での困りごとなども確認し、一人ひとりの状態に合わせた診療・支援を行っています。本人の意志や育て方だけの問題と捉えず、医学的な視点から状態を整理し、ご家族と今後の対応を考えます。
また、ネット・ゲーム依存への支援プログラム「i-Swing」を、公認心理師との個別支援に取り入れています。公認心理師とマンツーマンで、ゲームに没頭するきっかけとなるストレスや孤独感などを整理し、ゲーム以外の対処方法を考えていきます。
通院治療だけでは対応が難しい場合には、大阪精神医療センターなどと連携し、必要に応じて紹介を行います。薬物療法では、ゲーム障害そのものではなく、背景にあるADHDの症状や不眠、抑うつなどに対して、必要に応じて薬を処方します。
初めて受診される方へ
当院では、初めて受診される方の症状や状況を伺いながら診察を行っています。
受診の流れは、Webまたはお電話でのご予約の後、ご来院時に問診票をご記入いただき、医師による診察(目安として10~15分程)を行います。
「何を話せばよいかわからない」という方も、困っていることをそのままお話しください。
ゲームがやめられない子どもに関するよくある質問
ゲームと依存に関して保護者からよく寄せられる質問にお答えします。
スマホゲームも依存になりますか?
はい。スマホゲームも依存につながる可能性があります。
スマホはいつでも利用できるため、ゲーム時間が長くなりやすい傾向があります。ゲームの種類よりも、日常生活に支障が出ていないか、利用時間を自分でコントロールできているかといった点が重要です。
何時間からゲーム依存になりますか?
「1日○時間以上がゲーム依存」という明確な基準は定められていません。ゲーム障害の診断では、時間の長さよりも、ゲームを自分でコントロールできるか、学業や対人関係などの日常生活に支障が出ていないか、といった点が重視されます。 そのため、時間が短くても生活に影響が出ている場合は相談が必要になることがあり、利用時間だけで判断することはできません。



